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1. なぜ当研究室への配属を希望するのかをしっかり考えてください

配属を希望する理由をしっかりと考えてください。雰囲気が良さそう、頑張って研究をやっていそう、先輩がまだ少ないから自由にやれそう、なんか装置がいっぱい並んでて凄そう、などの曖昧な理由ではありません。自分の将来をある程度決定すると言っても過言ではない選択ですので、真剣に時間をかけて考えてください(参考1234。そして他の研究室と比較検討してください。参考までに2019年度の学部3年生向け紹介記事へのリンクを載せます1

自分が将来どんな職業に就きたいのか、どんなライフスタイルが好きなのか(仕事に没頭して早く出世したいのか、仕事はぼちぼちで趣味に時間を使いたいのか、起業したいのか、フリーランスがいいのか、など)、どうなったら自分は幸せになれるのか、どういうことに幸せを感じられるのか、自らに問いかけてください1。その希望(野心と言い換えても良いです)を叶える上で、当研究室への配属にどんな意味があるのかを考えてください。

例えば給与を重視したいなら、政府統計の総合窓口e-Stat1で、「職種別民間給与実態調査」と検索してみてください。職種・年齢・役職別の平均給与などの情報が得られますので、将来の自分の給与が大雑把にわかります。

労働時間を知りたいなら、「毎月勤労統計調査」と検索すれば詳細情報にアクセスできます。パートタイムの労働時間も合算されていますから、フルタイムの仕事の場合は、これらの数値よりも若干長くなるでしょう。残業のある職種は多いと思います。

 

今後、終身雇用は崩壊します。はっきり言いますが、周りの大人(私を含め)が将来こうした方がいい、なんてのはアテになりません(ここに書いていることもどれだけ役に立つことやら、、、)。時代が違うのです。これまでも企業の寿命は30年と言われてきました12。その寿命も社会情勢の変化によって短くなってきています。君たちが就職する会社が定年まで存続する保証はどこにもありません。会社が倒産しなくても、部門や研究所の閉鎖で退職を余儀無くされることもあります。私の大学・大学院時代の先輩・同級生・後輩にそういう状況になった人は何人もいます。安定な雇用なんてものは夢物語になってきています。自分だけはそうならないと​思う幻想は捨てましょう。その上で、これからどんな人生を歩んでいこうとするのかを真剣に考えてください。

日本の今後は諸外国の歴史を見ればある程度予測できるはずです。例えば、アメリカには1970年代まで終身雇用がありました。欧米で起こった雇用制度の変遷は日本でも起こり得ると考えるのが自然でしょう。むしろ企業の経営者は積極的に真似るはずです。

​更に言えば、これからは人口減少社会です1。人口の減少によって社会構造は大きく変化するでしょう。需要が減り、価値の下がる仕事も出てきます。当然その逆も起こりますし、これまで存在しなかった仕事が間違いなく現れてきます。

 

そのうち新卒一括採用もなくなるでしょう1。君たちが就職した後からは、新卒一括採用ではない「ジョブ型」で採用されたスキルを持った新人が会社に入ってきます(1, 2)。年齢層もバラバラです。その新人達に先輩として勝てるところはありますか?

 

定年退職なんてものはなくなり、同時に退職金もなくなるかもしれません。役職定年という制度を知っていますか? 不要と判断されたら何歳であっても解雇されるかもしれません。実際に中高年の早期・希望退職の募集(いわゆるリストラ)は頻繁にニュースで流れます。逆に、健康で必要とされたら死ぬギリギリまで働くことになるかもしれません。悠々自適な老後なんて幻想になるでしょう。

 

持続的な経済成長をと政府や経団連は言いますが、そもそも現状維持すら怪しいのではないかと思いませんか? もう高度経済成長期のような社会全体が底上げされるようなことはありません。上がるところもあれば、下がるところもある、いわゆる平衡状態に達した社会になりますし、それはそれで成熟した形ではないかと思います。

 

社会が持続的経済成長を執拗に望む理由はまだ学生にはわからないかもしれません。考えたこともないでしょう。研究室に来てくれたら雑談がてら私の考えをお教えします。

​こんな風に不安を煽るやり方は詐欺の常套手段ですが、私の本を買わせるとかありませんから安心してください。当研究室は特に何も販売していません。

将来に対して漠然とした不安を感じる学生は多くいると思います。この一つの原因は、漠然としていることです。つまり将来こうありたい、こういう仕事に関わりたい、年収これぐらい欲しい、などのビジョンが具体化されていないがために、どうやってそこへ到達すれば良いかを考えられないのです。将来に向けて何が現在取り組むべき課題なのかを認識できていない状態です。そのために漠然とした不安を抱えて、現実から目を逸らし、無為な生活を送っている学生もいるでしょう。

注意して欲しいのは、その課題は潜在的には存在しません。誰かが発見してくれるものでもありません。自らがそれを課題として設定する形でしか表出しないものです。何を課題とするかは人それぞれなのです。

​研究の世界では、課題を設定することが研究者の最も重要な仕事です。なぜその課題に取り組んだのか? これを過去の知見や自らの実験データをもとに論理的に説明することが求められます。論文ではイントロダクションにこれが記載されています​。論文で最も重要な部分はイントロダクションです。勘違いしている方も多いのですが、イントロダクションがしっかり書かれていない論文は、例えデータが素晴らしくても学術雑誌には受理されません。課題に取り組むべき理由がいかに重要視されているかお分かりだと思います。

​しっかり考えるために必要となる当研究室の情報はいくらでも提供します。隠すことはほとんどありません。特許出願前の研究成果についてはお話しできませんが、それ以外でしたら何でもお話しします。当研究室の学生メンバーとも是非話をしてください。

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