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喜井からのメッセージ​

​こんにちは。
創薬標的科学研究室の喜井 (きい) です。

私たちの研究室ホームページを訪れていただき、ありがとうございます。2019年春に着任し、PI (Principle Investigator) として研究室を主宰しています。

研究室における私の役割は、場を提供することです。当研究室は、「実践的な研究活動を通して学生を教育する」スタイルです。これは、実践的な研究活動でないと習得できないことがたくさんあるからです。これらはなかなか言葉では伝えられません。講義などで教えられてできることには限りがあります。また学生には教えられたことしかできない、自分で考えない、自分で調べない人間にはなって欲しくありません。実践的な研究活動で、失敗しながら、試行錯誤しながら自らを成長させる、そのような場(研究テーマを含む)を提供することが私の使命と考えています。

「知行合一」という言葉をご存知でしょうか? 中国の陽明学の命題の一つです。「知ること」と「行うこと」は同じ心の働きから発する作用であり、分離不可能であるとする考え方です。陽明学をおこした王陽明は、「知って行わないのは、未だ知らないことと同じである」と主張しました。この考え方は、「行動を伴わない知識は未完成である」とも言い表されます(1)。当研究室では、学生・院生がこれまで学修してきた情報に実践を伴わせることで、本当の意味で知識を身につけてもらいたいです。

​今後はさらなる情報過多の時代を迎えることは間違いありません。この情報の海に溺れないように、学生・院生には情報の取捨選択の技術を習得してもらいます。自分が必要としている情報にいかに早く効率良くアクセスするか、これが現代社会で求められる重要なスキルであることは間違いありません。

​「知」を得ることは、現代社会では「行」を実践するよりも簡単です。朱子学の考え方に「先知後行」があります。知識を得ても、それを正しい行動に繋ぐには、修練を積むことが必要だとする説です。まずは「知」ありき、その後の修練こそがやはり大切なのです。
 
では、得た「知」はどのように扱うのが良いのでしょうか? 当研究室のモットーは「自分で考えろ、真似はするな」です。これは喜井が東工大の学生・院生だった頃に大変お世話になった、半田宏教授(現 東京医科大学 特任教授)の言葉です(1)。得た「知」から世界の「無知」を知ること、これが自分で考えて真似をしないことに通じます。「知」を得て、それをただ使うだけでは前人未到の領域へは到達できません。その領域にこそ人類を発展させる新しい「知」があるに違いないと確信しています。
 
この前人未到の領域への挑戦こそがScienceです。Scienceという言葉は、日本語では「科学」ですが、その本質は全く異なると私は考えています。
 
Scienceには文化的な側面もあるのです。Scienceの語源は、ラテン語のScientia(知識)です。役に立つ立たないではなく、人類の文化・知識として未来へと繋げる価値のあるものです。

Science and Technologyのようにこれらが同列に扱われることが頻繁にありますが、TechnologyはScienceの土台に成り立つもので、決して同列ではありません。

半田教授は同じく「素晴らしい基礎研究は必ず応用展開できる、と確信しています。そのときに大事なのは、いかにベーシックサイエンスをきちんとやり、いかにオリジナリティを注入できるかです」とおっしゃっています。この言葉を胸に刻み、オリジナルな基礎研究をきちんと積み上げ(1)、それを応用展開すべく研究を行なっています。

創薬標的科学研究室の研究テーマの根幹は「タンパク質と化合物の相互作用」です。喜井はただの生物学者ですが、2005年頃から有機化学者である細谷孝充教授(東京医科歯科大学 1, 理化学研究所 2)と共同研究を偶然スタートしました(これまでの共同研究の成果)。東工大での辞令交付の際にたまたま隣に座っていたのが細谷教授(当時 東工大 独立准教授)でした。細谷教授が有機化学、喜井が生物学、二人合わせてケミカルバイオロジーです。私はケミカルバイオロジストではありません。ちょっとケミストリーが理解できるバイオロジストです。有機化学(ケミストリー)も生物学(バイオロジー)もそれぞれが一筋縄ではない奥の深い学問です。その両方を同時にやれるほどの能力は喜井にはありません。喜井の軸足は生物学です。研究室の学生にも、生物学に軸足を置いて、有機化学についてもちょっとは理解できる研究者に育ってもらうのが私の希望です。細谷教授との共同研究のおかげで、当研究室では市販品にはないオリジナル化合物を多数扱うことができ、これまでにないタイプの酵素阻害剤の研究開発を推進しています(1)。また細谷教授たちが開発したオリジナルの有機化学反応を細胞やタンパク質へ応用する研究も行なっています。このように細谷研究室とは「持ちつ持たれつ」で共同研究を行なっています。有機化学者とコミュニケーションが取れて共同研究ができる生物学者を養成するのが当研究室の責任であると考えています。

創薬標的科学研究室は信州大学大学院農学専攻 先端生命科学分野(1)にあります。先端生命化学分野は、英語ではIntegrated Bioscience Divisionです。この分野名に恥じないScienceができるよう誠意努力しています。​

まだ新しい研究室ですが、最先端の研究設備を備え(1)、一流の研究ができるよう体制を整えてきました。見学希望者は随時受け付けていますので、当研究室への進学を考えている方、研究内容について質問がある方など気軽にご連絡ください。


信州大学 農学部/大学院農学専攻
先端生命化学分野
創薬標的科学研究室
教授 喜井 勲
2023年3月24日

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