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化合物標的タンパク質の

網羅的同定

化合物は、標的となるタンパク質へ結合し、その機能を発揮します。しかし、化合物は標的以外にも結合することがあります。この結合が細胞や臓器にとって望ましくない場合には、副作用が引き起こされます。

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この本来想定した標的以外の結合タンパク質を全て同定することができれば、副作用の分子メカニズムを解明できます。加えて、副作用低減に向けた化合物の構造展開により、副作用の原因タンパク質に結合しない化合物を設計し、合成することも可能です。

従来の技術として、①化合物をビーズに固定化し、細胞抽出液の中から結合するタンパク質を釣り上げる方法1、②化合物にビオチンなどのタグを導入し、そのタグを指標に結合するタンパク質を釣り上げる方法、③化合物に光親和性官能基を導入し、結合タンパク質と共有結合を作らせる方法1、④化合物の結合によってタンパク質が熱力学的に安定化することを利用して、安定化したタンパク質を同定する方法1、などが挙げられます。

これら従来技術にはいくつかのデメリットがあります。例えば、①②では化合物に強く結合するタンパク質が優先的に釣れてきますが、弱いものは引っ掛かりにくいことです。③では光反応効率の低さや、光親和性官能基の導入により化合物構造が変化することが挙げられます。④は最近良く使われる方法ですが、化合物の結合によってタンパク質が安定化するとは限らないことが問題です。

​当研究室では、これらのデメリットを解決した技術の確立に挑戦しています。具体的には、生きた細胞内で、化合物が結合したタンパク質全てに対して特異的なタグを複数導入し、そのタグ付けされたタンパク質を単離・精製、その後、質量分析により網羅的に同定する技術です。

本技術は未完成で、実現に向けて実験系の立ち上げを行なっています。実現した暁には誰しもが簡単に化合物標的タンパク質を網羅的に同定できるようになると確信しています。

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